賃貸トラブル〜退去時に原状回復クリーニング費用を不当請求された話

賃貸退去時のトラブル お役立ち

こんにちわ。今回は、5年ほど住んでいた賃貸マンションを退去し、最近やっと解決した賃貸トラブルについてです。

トラブル内容としては、退去時に現状回復クリーニング費用を請求されたことです。最初に請求書を受け取ったときは驚きましたし、退去から半年以上経ってやっと解決しました。結果としては私は騙されずに済みましたが、確認不足がちな方や面倒くさがりの方はあっさり損をしてしまうような状況だったので、こちらで書き残しておきたいと思います。

まず、状況をまとめますと、以下のような感じでした。

  • 2LDK(家賃15万円程度)に5年入居
  • 貸主は有名大手不動産会社A
  • 退去関連業務は代行会社Bが代行
  • 明け渡し時の確認では特に問題点の指摘はなし
  • 原状回復クリーニング費用として6万円弱を請求された
  • 手元の契約書に「クリーニング特約」の明記はない

退去後の明け渡しは問題点指摘なし

退去後の明け渡しは、代行会社Bが立ち会いました。各部屋を確認し、(タバコによるヤニ汚れや水漏れによる床汚損といった特筆するような)こちら側の不備による問題点も指摘されず、スムーズに終了しました。「普通のクリーニングだけですね」という感じで終了。

原状回復クリーニング費用の請求が来た

なぜか退去から数ヶ月が経ち、忘れた頃に代行会社Bから請求書が到着。借主負担の欄に、「原状回復クリーニング費用」という項目で6万円弱が記載されていました。

原状回復クリーニング費用は原則貸主負担

うちの夫も知らなかったようなので、声を大にして言いたいのですが、普通、原状回復クリーニング費用は貸主負担です。借主は毎月家賃を払って借りているので、退去した後のクリーニングなんて関係ないです。貸主が負担するべきものです。

レアケースとして、超人気物件の場合や数ヶ月ですぐ退去されてしまって借主の負担が多くなることを見越した場合など、契約内容に“なにがなんでも退去後のクリーニング費用が借主が払うこと!”という内容の「クリーニング特約」をつけている場合もあるのだそう。この場合は契約時に説明されて、納得して契約しているはずなので、仕方ないです。

(補足)原状回復工事費用も不当請求される場合が多い

今回私は請求されなかったのですが、「クリーニング代」ではなく「原状回復工事」で不当請求されるケースが多いようですね。

こちらは検索するとたくさん出てきますが、例えば、「6年住んでいたのに壁紙交換費用で○万円請求された」というのは不当請求である場合が多いです。国土交通省の定める経過年数と賃借人の原状回復費用負担割合のガイドラインがあり、”壁紙の価値は6年後にはほほぼ無価値になる”といった目安があります。

逆に、1年しか住んでないのに新品の壁紙をタバコで真っ黒にしてしまったという場合は請求されて当然かと思います。

経過年数と賃借人負担割合

契約内容確認とその後の不毛なやりとり

ということで5年前の契約書を見直しましたが、クリーニング特約の記載は見当たりません。
私の場合、ここから不毛なやりとりが長期間に渡って続きました。

私:原状回復クリーニング費用は借主(=借りる側)負担なのですか?
代行会社B:そうですよ。契約書に書いてあります
私:契約書を確認していますが、特約のような記載はありません。
代行会社B:貸主(不動産会社A)に確認します。
<数日経過>
不動産会社A:契約書に書いてないとのことですが、契約書別紙に「クリーニング特約」が書いてありますよ。借主の負担になります
私:そうですか。では借主負担で仕方ないですね。念の為、別紙のコピーをお送りいただけますか?
不動産会社A:いいですよ。

私は真面目な人間なので、契約書の類は全て保管してあります。しかし、この契約書別紙というものが見当たらない。駐車場の契約書も更新書も全て保管してあるのになぜ…(泣)

<念の為、契約当時の仲介会社Cに確認>
私:原状回復クリーニング費用を6万円弱請求されたが、妥当でしょうか?別紙が手持ちにないのでそちらで確認頂くことはできますか?
仲介会社C:別紙を確認しました。裏面に減価償却年数など細かく規定が書いてあるので全て読み上げることはできませんが、クリーニング費用は貸主(工事会社)によりピンキリなので、2LDKで6万円も妥当かと思います
私:そうですか。妥当な金額なら仕方ないですね。ありがとうございました。

契約書別紙を確認

この後すぐに、代行会社Bから郵送で契約書別紙のコピーが送付されました。(お手数おかけしました…)早速確認してみると、クリーニング特約部分については概ね以下のように記載されています。

必ず借主にご負担頂く原状回復費用について(特約)

借主または入居者の使用状況や清掃状況に関わらず、本貸室の明渡し後に下記内容の費用を貸主に請求いたします。

  1. タバコ・葉巻の喫煙、お香、調味料などにより、カーペット・クロス・設備機器などにヤニ汚れ、著しい臭気などが付着した場合の特別清掃・特殊洗浄・貼替などの必要な処置
  2. 動物を飼育した時の、天井・壁・床のクロス・フローリング・カーペットなどの補修及び貼替、特別清掃、消毒、消臭などの必要な処置
  3. 貸主の承諾を得て取り付けたり変更したりした設備などは、貸主の負担で撤去・原状回復していただきます。

1つ1つ内容を確認するも、「原状回復クリーニング費用を無条件で借主が負担する」旨の記載ではありません。1のタバコは吸ってないのでクリア、2のペットはそもそも飼育不可の物件です。何より、明け渡し時にこのような指摘は受けていません。

喫煙によるクロス汚損

そして、今思えば、先の仲介会社Cの回答も全く見当違いでした。

裏面に細かく記載されている規定は「原状回復工事」に関するものであり、「原状回復クリーニング」とは無関係です。また、「原状回復クリーニング特約」については上記3項目のみ適用なので、タバコもペットも設備設置も当てはまらない今回の場合は不当請求だと教えてくれれば良かったと思います。

ということで、また代行会社Bとのやりとり。

私:契約書別紙も確認しましたが、タバコもペットも該当しないので、クリーニング特約に当てはまりません原状回復クリーニングは貸主負担だと思います
代行会社B:貸主(不動産会社A)に確認します。
<数週間経過>
私:例の件はどうなっていますか?
代行会社B:貸主が契約書を取り寄せて確認するそうなので、時間がかかります。
(私:は?取り寄せるって何?うちにコピーを郵送してくれたじゃん…)
<数週間経過>
私:例の件はどうなっていますか?
代行会社B:貸主から連絡ないですか?もう一度確認してみます。
(私:は?連絡とか仲介するのがあなたがた代行会社の仕事じゃないの?)
<数週間経過>
代行会社B:クリーニング費用は貸主負担になりました。
私:そうですか、良かったです。
(私:え?間違った請求しておいて謝罪なし?)

結局、原状回復クリーニングは貸主負担に

ということで、紆余曲折の末、原状回復クリーニングは貸主負担に落ち着きまして、一件落着です。

改めて思い返して見ると、1度だけ不動産会社Aから直接連絡があった際の、「別紙にクリーニング特約があるので、クリーニングは借主負担です」の発言、…これ完全に嘘でしたね。そもそも、初回コンタクト時の代行会社Bの自信満々の「クリーニング代は借主負担ですよ」も、結果的に事実とは異なります。

“嘘”というと言い方が悪いかもしれないですが、実際、嘘・すっとぼけ(うっかりしてました〜^^; 的な)は賃貸退去時の不当請求で多様される常套手段のようです。事実と異なることを平然と言ってくるケースがあるので、注意が必要です。しかも、今回はそのことについて何の謝罪もありませんでした。

賃貸退去時トラブルの教訓

ということで、今回得た賃貸退去時のトラブルの教訓です。

  • 賃貸契約時、”借主に不利な特約”がないか確認する
  • 契約書は保管しておく
  • 不動産会社は嘘をつくことがある
  • 自分の目で契約内容を確認する
  • 時間がかかっても諦めない

今回は、不動産会社A代行会社Bの嘘・すっとぼけにもめげず、時間稼ぎにも思える長期戦にもめげず、クリーニング費用の不当請求を回避することができました。

今回のケースでは、うちの夫は「有名大手不動産会社が悪意をもって騙すようなことをするわけがないよ」「6万円弱なら妥当じゃない?」「そんなにゴネてたら時間の無駄じゃない?」みたいなスタンスで、私がやりとりをすることに対して否定的でした。このように、請求された金額に疑問を持たない人、疑問を持っても従ってしまう弱気な人・面倒くさがりな人は本当に注意が必要です。

改めて、面倒でもやりとりが憂鬱でも、時間がかかっても、きちんと正しい対応をするのが大事だと思いました。みなさまもお気をつけて!